エコキュートでお湯を沸かせば、電気代が安くなり、環境にも負荷を与えないので人気ですが、「フルオートタイプ」や「セミオートタイプ」など多数の機種が販売されており、どのようなものか分かりにくいのが実情です。
そこで、この記事ではエコキュートの種類や費用の相場、デメリットやメリットをご紹介します。
エコキュートとは
エコキュートは「ヒートポンプ」という技術を用いて、空気中にある太陽で温められた熱「大気熱」を利用しつつ、お湯を沸かす仕組みになっています。
ガス給湯器のように火を使わず、また電気温水器と比べ低電力でお湯を沸かすことができるので、エコキュートは二酸化炭素を排出せず給湯が可能な、エコで電気代も安い給湯器と人気です。
エコキュートの種類と特徴
エコキュートは様々な機種が販売されていますが
- フルオートタイプ
- セミオートタイプ
- 給湯専用タイプ
から選ぶことができます。
フルオートタイプ
フルオートタイプのエコキュートは、キッチンや洗面台などに給湯しつつ、ボタンひとつでお湯はり(浴槽にお湯を入れること)を開始し、指定した湯量になると、自動で停止してくれます。
さらに入浴中は、指定したお湯の温度や水量を自動で保ち、追い焚きもできます。
なおフルオートタイプのエコキュートがお湯はりをする際は、蛇口ではなく、浴槽の中にある「追い焚き口(循環口)」からお湯を出す仕組みになっています。
セミオートタイプ
セミオートタイプのエコキュートは、キッチンや洗面台などに給湯しつつ、ボタンひとつでお湯はりを開始し、指定した湯量になると、自動で停止してくれます。
セミオートタイプのエコキュートは、フルオートタイプのように浴槽のお湯の温度や水量を自動で管理する機能は付いていませんが、追い焚きは可能です。
またお湯はりをする際は、フルオートタイプと同じく、追い焚き口からお湯を出す仕組みになっています。
なおフルオートタイプとセミオートタイプのエコキュートは、追い焚き口を用いてお湯はりをする仕組みになっていますが、既存の浴槽に追い焚き口がない場合は、取り付け工事を行うことにより、利用が可能となります。
追い焚き口の取り付け工事の費用の相場は、2~3万円程度です。
給湯専用タイプ
給湯専用タイプのエコキュートは、キッチンや洗面台、浴室内の蛇口などに給湯できる給湯器です。
フルオートタイプやセミオートタイプのように、ボタンひとつでお湯はりをしたり、浴槽内の湯量の管理や追い焚きはできませんが、本体価格が安いことが特徴です。
また給湯専用タイプのエコキュートは、浴室内にある既存の蛇口を用いて、手動でお湯はりをする仕組みになっているため、特別な配管工事を必要とせず取り付けが可能で、リフォーム費用を安く抑えることができます。
エコキュート設置の費用はいくらが相場?
エコキュートの設置・交換をするにあたり、最も気になるのが費用ではないでしょうか。
フルオートタイプ、セミオートタイプ、給湯タイプに分けて、エコキュートの設置に必要な費用の相場をご紹介します。
フルオートタイプ | リフォーム費用の相場 |
---|---|
本体価格+標準工事費用 | 50~70万円 |
200V電気工事費用 | 15~20万円 |
合計額 | 65~90万円 |
セミオートタイプ | リフォーム費用の相場 |
---|---|
本体価格+標準工事費用 | 45~65万円 |
200V電気工事費用 | 15~20万円 |
合計額 | 60~85万円 |
給湯専用タイプ | リフォーム費用の相場 |
---|---|
本体価格+標準工事費用 | 35~55万円 |
200V電気工事費用 | 15~20万円 |
合計額 | 50~75万円 |
なお各表には、15~20万円もの費用を必要とする「200V電気工事」という項目が含まれていますが、これは自宅に200Vの電圧を引き込む工事を表します。
一般的な家庭には100Vの電圧が引き込まれていますが、エコキュートを利用するためには200Vの電圧が必要となるため、この工事は必須となります。
ただしIHクッキングヒーターなどを利用していることにより、既に自宅に200Vの電圧が引き込まれている場合は、この工事は不要です。
エコキュートのデメリット
エコキュートといえば電気代が安くなるなどのメリットが沢山ありますが、デメリットも存在します。
1)お湯切れになりやすい
エコキュートは電気代が安くなる深夜にお湯を沸かし、そのお湯をタンクに溜めつつ、溜まったお湯で昼夜問わず給湯する仕組みになっています。
そのため溜めたお湯を使い切ると、お湯が出なくなってしまいます。
この不便さを防ぐために、エコキュートはタンクの湯量が少なくなると、深夜ではなく、その時点で沸かしはじめる機能が付いていますが、沸くまで時間がかかり、沸き上がるまでお湯が出ません。
2)冬は電気代が高い
エコキュートは空気中にある熱「大気熱」を用いて、お湯を沸かす仕組みになっています。
そのため電気温水器に比べ、低電力でお湯を沸かすことができますが、空気中の熱量が少なくなる冬季は、大気熱と電力を併用してお湯を沸かします。
このため気温が低くなる冬季は、電気代が高くなりがちです。
また冬季は凍結しやすいという欠点もあります。
しかし気温が高くなる夏は、電気代が驚くほど安くなるというメリットも存在します。
3)広い設置スペースが必要
ガス給湯器は小さくて薄い製品が多いため、外壁などに取り付けつつ、コンパクトに設置をすることができます。
しかしエコキュートは、お湯を溜める「貯湯ユニット」と、大気熱を取り込むための「ヒートポンプユニット」の2つで構成され、それらを設置するには1500×500mm程度のスペースが必要となります。
そのため庭の一角を占拠しますし、場合によっては設置スペースを新たに設ける必要があります。
エコキュートのメリット
エコキュートは2001年に商品化され、現在では累計出荷台数が500万台を超える人気の給湯器です。
そんなエコキュートのメリットを3つご紹介します。
1)ガス代を節約できる
エコキュートは電力でお湯を沸かすため、ガス代を節約できるのが最大のメリットです。
特にLPガス(プロパンガス)をお使いで、「ガス代が高い」とお悩みの場合は、エコキュートにすることで光熱費を大幅に節約できます。
またエコキュートと一緒にIHクッキングヒーターなどを導入しつつ、オール電化にしてガス会社との契約を解除すれば、ガスの基本料金も節約できます。
2)深夜にお湯を沸かすため、電気代が安くなる
電気料金は、昼より深夜のほうが安くなるという特徴があります。
そしてエコキュートは電気代が安くなる深夜にお湯を沸かし、そのお湯をもちいて、昼夜問わず給湯する仕組みになっているため、電気代を抑えられるという特徴があります。
ただしこれは、電気温水器も同じ仕組みになっているため、エコキュートだけのメリットとはいえません。
3)タンクの水を非常用水として利用できる
エコキュートの本体には、タンクに溜まったお湯を給水できる「給水栓(小さな蛇口)」が付いています。
このため災害時に断水した際は、食器を洗ったり、トイレを流す非常用水として利用できます。
ただし非常事態により停電している場合は、タンクに溜まったお湯は、時間の経過と共に冷えてしまうため、お湯としての利用時間は限られてしまいます。
エコキュートを導入する時の注意点
上述のように、エコキュートはお湯切れしやすいので、お湯切れを防ぐために、タンクの容量が大きい機種を選ぶのがおすすめです。
エコキュートのタンクの容量は
- 560リットル(5~8人用)
- 460リットル(4~7人用)
- 370リットル(3~5人用)
- 300リットル(2~4人用)
などから選べるので、余裕がある機種を選択してください。
ただしタンクの容量が大きいエコキュートは、お湯を沸かすための電気代も高額になるため、いたずらに容量が大きい機種を選ぶのではなく、「適度に」容量が大きい機種を選ぶことがポイントです。
エコキュートと補助金
エコキュートは、1台につき数万円程度、補助金が出る自治体もあります。
補助金制度は数年前に開始され、申込者が規定数に達したため、現在は多くの自治体で廃止されていますが、一部の自治体では継続中です。
エコキュートを導入したいとお考えなら、一度、自治体のホームページなどで補助金制度の有無を確かめてから、リフォームを開始してみてください。
エコキュートのリフォーム業者の選び方
リフォーム業者と一口に言っても、各社とも得意分野が分かれています。
まずはエコキュート設置の実績が豊富な会社なのかどうかを確認しましょう。
エコキュート設置の経験が豊富な会社は、工事に慣れているだけでなく、メーカーとの取引量も多いため、お得に機器を仕入れてもらうことも可能です。
あなたはどんなエコキュートが欲しいですか?