増築とは既存の母屋に新しい建物を付け加えることを表し、増築リフォームをすれば、建て替えるより安く家を広くできます。
しかし増築を行う際は、事前に届け出が必要であったり、工事後に課税されたりすることがああります。
そこで、この記事では増築のデメリットやメリット、法的手続き、増築工事の費用の相場などをご紹介します。
増築のメリット
まず、増築のメリットを3つご紹介します。
1)建て替えるより安く家を広くできる
増築は、既存の母屋に新しい床面積を追加するだけに、建て替えるより安く、居住スペースを広くできます。
また建て替える場合は4~6ヶ月程度と長期間の工事が必要ですが、増築は1~2ヶ月程度と短期間で工事は終了し、住んだまま工事も可能なため、仮住まいも必要ありません。
お子様が生まれるなどを理由に、手っ取り早く、なお且つ、予算を抑えつつ家を広くしたいとご希望の場合は、増築がおすすめです。
2)趣味の部屋など、お気に入りの部屋を増築できる
増築をすれば、趣味の部屋を増やすことができます。
例えば、映画鑑賞が趣味の場合は、防音設備が整った、壁掛けの大型液晶テレビが設置されたシアタールームを増築したり、絵画や工作が趣味であれば、アトリエなどを増築することも可能です。
また犬や猫を飼っていらっしゃる場合は、ペット専用の部屋を増築したり、熱帯魚鑑賞が趣味の場合は、水槽を置く専用の部屋を増築するなど、増築は夢が広がります。
3)店舗スペースを増築すれば、お店を運営できる
店や教室を開きたいという夢がある方は、店舗スペースを増築するのがおすすめです。
家の横に店舗を増築して、かわいい小物類などを販売すれば、夢が叶いつつ、ちょっとした収入も見込めるかもしれません。
また書道の師範免許を所有している場合は、教室を増築して、月謝で収入を得たり、茶道のお免状を所有している場合は、茶室を増築して、茶道が趣味の方と自宅で触れ合うこともできます。
増築のデメリット
次に増築のデメリットを3つご紹介します。
増築をすると家を広くできますが、デメリットも存在します。
1)地震に弱く、雨漏りしやすい
増築をすると、既存の母屋に新しい建物(増築部分)が継ぎ足されます。
そのため地震により建物が揺れた際、継ぎ目(接合部分)がねじれ、母屋も増築部分も倒壊しやすくなることがあります。
また増築をすると、屋根も継ぎ足されるため、継ぎ目から雨漏りが発生することもあります。
ただ、これらの問題は、経験と知識が豊富な業者が増築工事を行うことにより防ぐことができますので、リフォーム業者選びが重要と言えます。
2)建ぺい率や容積率を超える増築はできない
増築というと、土地が余ってさえいれば、好きなだけ建物を広くできる印象がありますが、それぞれの土地には、一部例外を除き、建築できる建物の面積が「建ぺい率」や「容積率」により定められています。
建ぺい率や容積率に余剰がない場合は増築は事実上できませんし、余剰があっても、建ぺい率と容積率を超える増築はできないため、注意してください。
一方、土地が広く、建ぺい率や容積率に大きな余剰がある場合は、増築ではなく、離れ屋を建てる選択肢もあります。
離れ屋であれば、増築工事により母屋が傷みやすくなる心配がありません。
3)建物のデザインが損なわれる恐れがある
増築した箇所だけ外壁材が異なると、デザイン的に不格好になります。
また増築をして屋根を継ぎ足すと、その箇所だけ屋根の形状が異なり、建物に違和感が出ることもあります。
外観の統一感を出すためには、増築と共に、外壁や屋根の全体をリフォームする方法が有効ですが、相応の費用がかかるため、資金計画をきちんと立てる必要があります。
増築にかかる費用はいくらが相場?
増築リフォームにかかる費用は、基本的に増築をする床面積(坪数)により決定します。
しかし増築をする部屋の位置や、既存の母屋の傷み具合などにより、高くなることもあります。
以下に、増築リフォームの費用の相場を紹介します。
増築する床面積 | リフォーム費用の相場 |
---|---|
10平方米(約3坪/畳6帖程度) | 200~500万円程度 |
20平方米(約6坪/畳12帖程度) | 400~700万円程度 |
30平方米(約9坪/畳18帖程度) | 600~900万円程度 |
キッチンや浴室、トレイなど、給水管や排水管の設置工事を必要とする部屋を増築する場合は、10~20万円程度が追加でかかります。
増築をする時の注意点
増築と聞くと、大工さんがトントントンと簡単に工事をしてくれるイメージがありますが、工事開始前には役所への申請が、終了後には法務局への登記申請が必要です。
以下では、増築をする際に必要となる法的手続きや税金について紹介します。
増築の開始前に必要な申請
防火地域や準防火地域に建てられた戸建てを増築する場合や、防火地域や準防火地域以外に建てられた戸建てを10平方米(畳6帖程度)以上増築する場合は、工事開始前に役所への建築確認申請が必要です。
この建築確認申請では、既存の母屋を含む、増築後に完成した建物の全体が、建築基準法に適合しているかがチェックされます。
そのため既存の母屋が、築年数が古く耐震性がないなどを理由に、建築基準法に適合していない場合は、母屋を建築基準法に適合させつつ増築を行う計画を立て、その計画を以て確認申請を行い、リフォームを開始する必要があります。
この場合は数百万円程度リフォーム費用が高額になるため、注意してください。
なお、お住いの地域が防火地域や準防火地域に該当するか否かは、役所に問い合わせることにより確認できます。
また役所への建築確認申請はリフォーム店が代行してくれ、申請費用は数万円〜十数万円が相場です。
増築の終了後に必要な登記
増築が終了した後は、法務局で建物の登記簿を書き換え、増築箇所が誰の所有物なのか、登記をする必要があります。
この手続きはリフォーム店や司法書士が代行してくれ、費用は数万円程度です。
増築リフォーム終了後の課税
増築リフォーム終了後は、役所により現場確認が入り、増築をした箇所への評価額が算出され、増築をした箇所に対する不動産取得税が課税されます。
また同時に、増築をした箇所に対する固定資産税も課税されます。
ただし増築リフォーム終了後に、母屋を含む家全体の床面積が、50平方米以上、240平方米以下の場合は、評価額より1,200万円が控除されるため、よほど大きな増築を行わない限り、不動産取得税は課税されません。
増築したい場合の業者の選び方
増築をする際に必要な法的手続きや、費用の相場などをご紹介しました。
増築すれば、建て替えるより安く、居住スペースを広くできるため、子供部屋や趣味の部屋が欲しいとご希望の場合はおすすめです。
しかし行き当たりばったりの増築を行うと、地震の際に建物がねじれやすくなったり、雨漏りしやすくなったりと、デメリットが発生します。
よって増築を行う際は、知識と技能に優れた、経験豊かなリフォーム店に施工を依頼することが大切です。
知識や技能、実績はもちろんのこと、親身に相談に乗ってくれるリフォーム業者とぜひ巡り合ってください。