「家が無駄に広い」と感じている方はいらっしゃいませんか?
そのような方は、家の床面積を狭くする減築リフォームがおすすめです。
家を狭くするリフォームと聞くと、もったいない印象がありますが、建物が管理しやすくなるなどのメリットがあり、お子様が独立したご夫婦が住む戸建てを中心に、密かに人気となっています。
しかし減築を行うと、収納スペースが減るなどのデメリットも発生するため、減築を行う際は事前に考慮すべき点がいくつかあります。
そのためこの記事では、減築のデメリットやメリット、減築工事に必要となる費用の相場、法的手続きなどを紹介します。
減築のメリット
まず、減築のメリットを3つ紹介します。
家の管理がしやすくなるなど、減築リフォームを実際に行った人には好評です。
1)家を管理しやすくなる
家が広いと、隅々まで目が届かず、雨漏りなどの不具合が起きても気付きにくいものです。
建物の不具合は長期間放置するほど傷みが進行し、修繕費用も高くなりがちですが、減築リフォーム後は家が小さくなるため、隅々まで目が届きやすく、家の管理がしやすくなります。
また2階建てを平屋に減築すれば、2階の窓から空き巣狙いに侵入される心配もなくなり、安心です。
減築リフォームと共に、天井裏や壁、床下に断熱リフォームを施せば、家が小さくなると共に気密性が増し、冷暖房が効きやすくなり、光熱費を節約できます。
さらに減築をすると外壁や屋根の面積が減るため、外壁や屋根を塗り替える際にも費用が安くなります。
2)階段を昇り降りする手間がなくなる
戸建てに住んでいると、もっとも面倒だと感じるのが階段の昇り降りですが、2階建てを平屋に減築すれば、階段を昇り降りする必要がなくなります。
ただし2階建てを平屋に減築すると収納スペースが減るため、所帯道具が多い方は、減築と共に、1階に収納を増やすリフォームも計画するのがおすすめです。
3)空いた土地に庭や菜園を作れる
減築をして建物面積を狭くすれば、その分だけ土地が空き、その新たなスペースに庭や菜園を作ることが可能です。
駐車場を設置することも可能なので、近隣に駐車場を借りている場合は、駐車場代も節約できます。
ただし減築後に庭や菜園の設置を希望している場合は、植物や野菜の成長を考え、可能な限り、日当たりの良い南側の土地を空けるようにリフォーム計画を立てることがおすすめです。
減築のデメリット
次に、減築の3つのデメリットを紹介します。
減築をすると、戸建てはコンパクトになり管理しやすくなりますが、デメリットもあります。
1)収納スペースが減る
減築をすると部屋の数が少なくなり、収納スペースも減るため、所帯道具が多い家庭が減築を行うと、物や道具の置き場に困ります。
収納スペース不足を防ぐために、減築の開始前に不要な所帯道具を処分するのがおすすめですが、愛着のある物や道具を捨てるには覚悟が必要です。
よって減築を行う際は、減築と同時に、押し入れなどの収納を増やすリフォームを計画することがポイントです。
なお2階建てを平屋に減築するリフォームを行う際は、階段を撤去して空いたスペースや小屋裏(屋根裏)に収納スペースを作れば、物や道具をたくさん収納できて便利です。
ただし小屋裏は、天井裏に位置するだけに、物や道具を出し入れする際はやや手間が掛かります。
2)外壁材の統一感がなくなる
平屋を減築したり、2階建ての2階一部分だけを減築したりする際は、部屋と外壁の一部を撤去する必要があります。
部屋と外壁の一部を撤去した後は、新しい外壁を作る補修工事をすることになりますが、その際は新しい外壁材の導入が必須です。
そのため減築した箇所だけ他の箇所と外壁材が異なると、デザインに統一感がなくなります。
これを防ぐには、減築と共に、外壁材を全て貼り替えるリフォームが有効ですが、相応の費用が掛かるため、資金計画をきちんと立てる必要があります。
3)予想外に費用が高額になることがある
減築の費用は、増築より安くなることが一般的です。
しかし減築のために、地震による倒壊を防ぐために設けられた「筋交い」(補強材)が入っている外壁や間仕切りを多数撤去する場合は、減築後に残る住居部分に対して、耐震補強工事が必要となります。
耐震補強工事が必要となった場合は、予想外に費用が高額になることがあります。
減築をする際は、事前にリフォーム店とよく相談し、耐震補強工事や追加費用が発生しないか、確認をすることが大切です。
減築にかかる費用はいくらが相場?
減築にかかる費用は、減築する床面積や、減築により必要となる壁や屋根の補修工事の規模などで決定します。
以下に、10坪(畳20帖程度)または5坪(畳10帖程度)の床面積を減築する際に必要となる費用の相場を紹介します。
減築する建物と床面積 | リフォーム費用の相場 |
---|---|
2階建てを平屋に減築する (減築する床面積は10坪) | 350~500万円 (1坪あたり35~50万円) |
2階建ての1階と2階をそれぞれ減築する (減築する床面積は合計10坪) | 450~600万円 (1坪あたり45~60万円) |
2階建ての2階の一部を減築する (減築する床面積は5坪) | 230~380万円 (1坪あたり45~75万円) |
平屋を減築する (減築する床面積は5坪) | 200~350万円 (1坪あたり40~70万円) |
ご紹介したのは、減築をしつつ、外壁や屋根を補修するだけのシンプルなリフォームの費用相場です。
減築をしつつ、残った住居部分をフルリフォームするなどして、戸建てを一新する場合は、それぞれの費用に、数百万~1,000万円程度の追加費用が必要になります。
ちなみに減築リフォームと同時に、収納スペースを確保するため、押入れやクローゼットを設置する場合は、一箇所につき、15~25万円程度の追加費用がかかります。
減築する時の注意点
続いて、減築をする際に必要な法的手続きや税金に関する情報を紹介します。
減築の開始前に必要な申請
お住まいの戸建てを減築する際は、事前の役所への届け出は不要です。
ただし減築に伴い、筋交い(補強材)が入っている外壁や重要な基礎を複数箇所撤去するなどして、建物の構造が大きく変化する場合は、事前に建築確認申請が必要になる場合があります。
この建物確認申請では、減築工事終了後の建物が現在の建築基準法に適合しているかがチェックされ、認可されない場合はリフォームを開始できません。
減築により耐震性が損なわれるなどして、減築後の建物が建築基準法に適合しない場合は、減築と共に補強工事の計画も立て、その計画を以て確認申請を行い、リフォームを開始する必要があります。
この場合は、減築リフォームに補強工事が追加されるので、費用はより高くなります。
なお、どの程度の減築の場合に事前の建築確認申請が必要になるかは、各役所の見解により異なるため、詳しくは役所の建築課にお問い合わせください。
余談ですが、個人が住む戸建てを減築する場合、事前の建築確認申請が必要になる事例は極めて少ないです。
減築の終了後に必要な登記
減築リフォーム終了後は、法務局で建物の登記簿を書き換える必要があります。
この手続きは、司法書士が数万円程度の費用で代行してくれますが、費用を安く抑えたい場合は、法務局の職員さんに申請書の書き方を教わりつつご自身で挑戦してみることも可能です。
減築の終了後に安くなる税金
減築リフォームが終了し、法務局で登記簿の書き換えが完了すれば、所有する戸建てが小さくなったと公的に証明され、それに伴い、固定資産税や都市計画税が安くなります。
ただし安くなる額は僅かなため、大きな期待はしない方がいいです。
その他、減築により家が小さくなった後は、火災保険料が安くなることがあるため、ご契約の保険会社にも連絡をするのがおすすめです。
減築したい場合の業者の選び方
減築のデメリットやメリット、費用の相場などをご紹介しました。
減築をすれば、建物が管理しやすくなるなど様々メリットが発生するため、家が広すぎるとお悩みの方や、階段の昇り降りがツライ方にはおすすめです。
減築により土地が広く空けば、そのスペースを売りに出すことも可能で、売却による収入も期待できます。
知識や技能、実績はもちろんのこと、親身に相談に乗ってくれるリフォーム業者とぜひ巡り合ってください。