「オール電化にすると光熱費が安くなる」と、オール電化リフォームは大人気です。
ただしオール電化にもデメリットが存在するため、それを踏まえつつリフォームを開始することが重要です。
そこで、この記事ではオール電化リフォームのメリット・デメリット、リフォーム費用の相場などを紹介します。
オール電化のデメリット
電力会社のホームページを見ると、「光熱費が安くなる」などオール電化のメリットばかりが謳われていますが、デメリットも存在します。
1)ガスコンロが使えず、こだわりの料理が作れない
オール電化にすると、ガスコンロではなく、電力を熱源とする「IHクッキングヒーター」の使用が必須となります。
IHはガスコンロのように炎が出ず、電流で調理器具を熱します。
そのためフライパンなどを使う際は、フライパンをIHに完全に「接地」させる必要があります。
よってIHは、フライパンを宙に浮かせつつ調理をするチャーハンなどの中華料理には不向きで、料理にこだわりのある方には不便な部分があります。
また中華鍋のような底が丸いフライパンも使用できません。
2)ガスによる暖房器具が使えない
オール電化にして、都市ガスやLPガス(プロパンガス)との契約を解約すると、ガスによる暖房機が使えなくなります。
そのため電気ファンヒーターやエアコンなど、電力を熱源とした暖房器具を使うことになりますが、非力なものが多く、電気代も高額です。
たとえば電気ファンヒーターは電気代が高い割には暖まりにくく、エアコンは部屋が暖かくなるまで時間が掛かり、空気も乾燥しがちで、喉を痛めることもあります。
灯油ファンヒーターを使うという手段もありますが、灯油代がかさみます。
この問題を解消するためには、オール電化を採用しつつ、都市ガスやLPガスも併用して、ガスによる暖房機を使うという手段があります。
しかしこの手段は、都市ガスやLPガスの基本料金が必要となるため、オール電化ならではの「光熱費が安くなる」というメリットを活かせません。
オール電化にリフォームをする際は、ガスによる暖房機が使えなくなっても差し支えないか、考慮する必要があります。
3)停電に弱い
オール電化は、IHクッキングヒーターやエコキュートなど、電力を熱源とする設備だけを使用するものです。
そのため停電になると、設備が全て使えなくなり、インスタントラーメンを作るために必要なお湯すら沸かせません。
この問題はカセットコンロを所有することにより解消できますが、停電が長引くと不便です。
ただしエコキュートは、機種にもよりますが、本体に給水口(蛇口)があり、災害時はタンクに溜めているお湯を手動で排水できるため、お皿を洗ったり、トイレを流す水として使用できます。
オール電化のメリット
次に、オール電化のメリットをご紹介します。
1)ガスの使用を停止できる
オール電化の一番のメリットは、ガス会社との契約を解除できることにあります。
都市ガスやLPガスを解約して、オール電化に一本化すれば、ガス会社に支払っていた基本料金を節約できます。
特にLPガスを利用するご家庭がオール電化にリフォームをすれば、高額といわれるLPガスの料金を大きく節約できます。
2)光熱費を節約できる
電力会社は時間帯により電力の価格を調節し、深夜は電気代を安く設定しています。
そしてオール電化にすると、エコキュートや電気温水器を利用しつつ給湯をすることになりますが、それらの設備は電気代が安い深夜にお湯を沸かし、そのお湯をタンクに溜めつつ、昼夜問わず給湯する仕組みになっています。
そのため安い光熱費でお湯を沸かすことが可能になり、家計を助けてくれます。
3)火を使わないため安心
オール電化にリフォームをすると、火を使わないため、火事になるリスクを最小限に抑えることができます。
またIHは、機種にもよりますが、タイマーが付いていたり、加熱しすぎると自動で電源が切れる機能が付いているため、スイッチの消し忘れも防げます。
ただしIHといえども、誤った使い方をすると火事になるためご注意ください。
オール電化リフォーム費用はいくらが相場?
オール電化を検討するにあたり、最も気になるのが費用ではないでしょうか。
ここでは一軒家をオール電化リフォームするための費用の相場を3つのパターンに分けて紹介します。
1)シンプルプラン
まずは最も低価格でできる、シンプルなオール電化リフォームプランの費用相場です。
シンプルプラン | リフォーム費用の相場 |
---|---|
200V電気工事費用 | 15~20万円 |
IH本体および設置工事費用 (IHはスタンダードモデル) | 10~13万円 |
電気温水器本体および設置工事費用 | 15~25万円 |
合計額 | 40~60万円 |
シンプルプランでは、費用を抑えるために、給湯器はエコキュートより安価な電気温水器を、IHクッキングヒーターは標準的な機能を持つスタンダードモデルを導入しています。
なお表中に「200V電気工事費用」という項目が含まれていますが、これは自宅に200Vの電圧を引き込む工事を表します。
自宅をオール電化にリフォームをするためには、IHやエコキュートなどの導入が欠かせませんが、それらを動かすためには200Vの電圧が必要となります。
電気工事の費用は15~20万円程度と安くありませんが、電力会社に支払うため安くしようがないのが現状です。
2)エコキュートプラン
つぎにIHクッキングヒーターとエコキュートを導入する、本格的なオール電化リフォームプランの費用相場です。
エコキュートプラン | リフォーム費用の相場 |
---|---|
200V電気工事費用 | 15~20万円 |
IH本体および設置工事費用 (IHはミドルクラスモデル) | 15~20万円 |
エコキュート本体および設置工事費用 | 35~70万円 |
合計額 | 65~110万円 |
なおIHはシステムキッチンに埋め込む「ビルトインタイプ(埋め込みタイプ)」と、システムキッチン以外の通常のキッチンで使える「据え置きタイプ」が販売されているため、一部例外を除き、どのようなキッチンでも設置が可能です。
3)キッチンフルリフォームプラン
最後にIHクッキングヒーターやエコキュートを導入しつつ、キッチンを全面的にリフォームする、フルリフォームプランの費用相場です。
キッチンフルリフォームプラン | リフォーム費用の相場 |
---|---|
200V電気工事費用 | 15~20万円 |
エコキュート本体および設置工事費用 | 35~70万円 |
キッチンフルリフォーム費用 (IH本体及び設置工事費用含む) | 300万円 |
合計額 | 350~390万円 |
キッチンのフルリフォームの費用相場は300万円と紹介しましたが、これはビルトインタイプのIHが組み込まれたシステムキッチンを導入しつつ、キッチン全体の壁紙や床材も貼り替えた総額となります。
オール電化リフォームをする時の注意点
オール電化リフォームをするためには自宅に200Vの電圧を引き込む工事が必要となりますが、この工事はリフォーム店ではなく、電力会社による工事となります。
そして過疎地域などにお住まいの場合は、工事の開始までに数週間などの日数を要することがあります。
そのためオール電化にリフォームする場合は、リフォーム店や電気会社と相談をしつつ、余裕を持った日程で始めることがおすすめです。
オール電化リフォームの見積もり比較
リフォーム業者と一口に言っても、各社とも得意分野が分かれています。
まずはオール電化リフォームの実績が豊富な会社なのかどうかを確認しましょう。
オール電化リフォームの経験が豊富な会社は、取り替え工事に慣れているだけでなく、メーカーとの取引量も多いため、安価にIHクッキングヒーターやエコキュートなどを仕入れてもらうことも可能です。