バリアフリーリフォームの特徴やコツを「場所別」にご紹介します。
家全体をバリアフリーリフォームできるに越したことはありませんが、予算もあるので、まずは一番不便に感じている場所、危ないと感じている場所からリフォームしてみてください。
バリアフリーリフォームなら控除(減税)が受けられる
一定の要件を満たした場合、実は、バリアフリーリフォームなら控除(減税)を受けることができます。
- ローンを利用している場合は特定増改築等住宅借入金等特別控除
- ローンを利用していない場合は住宅特定改修特別税額控除
それぞれ要件が異なりますが、せっかくの制度は使わないともったいないので、バリアフリーリフォームを検討されている場合は、ぜひ一度確認されることをおすすめします。
玄関のバリアフリーリフォーム
玄関リフォームの際のポイントは
- 家族が多い時は「収納スペース」
- 夫婦二人暮らしになれば「余裕のあるスペース」
を確保することです。
しかしバリアフリーリフォームを考える際には
- 人が屈みこむスペース
- 人を抱きかかえるスペース
- 自分以外の人が動けるスペース
- 杖や車椅子を置くスペース
を確保する必要があります。
【玄関バリアフリーリフォームのよくある悩みと解決策】
「車椅子に備えて引き戸にしようとしたら、玄関の幅が足りなくて引き戸にできない」
「杖や車椅子を使うようになると、汚れを落とすスペースがないと困る。また毎回洗面所まで雑巾を濡らしに行くのが面倒なので、玄関に洗い場も欲しい。」
「シルバーカート(手押し車)の置き場がない」
「宅配業者さんとの会話が楽しみな一方、高齢で一人暮らしだと荷物の受け取りに不安を感じることも。また病院や整体への通院が増え留守にしがちになるので、便利な戸建て用の宅配ボックスがあると便利。」
「靴の収納もできる、高さ45cm前後の腰掛ベンチがあると便利」
「電動式段差解消機を設置するのも良いかも」
「人感センサーがあると安全で便利。高齢になると、車椅子や杖をつきながら電気のスイッチを探すのは大変。また介護者も荷物で手がふさがっていることが多い。」
「将来、電動式の介護便利機器の登場・導入を考慮して、コンセントを一つ用意しておくと安心かも。後から新設するのは大変。」
車椅子が通れる幅の引き戸に交換する場合の費用はいくら?
メーカー名 | 商品名 | 価格(税抜) | 備考 |
---|---|---|---|
三協アルミ | 玄関引戸 更楽(さらら) 袖付片引き戸(2枚建)11 | 489,000円 ~632,000円 | 高さ2230,幅1640 障子部・袖部ガラス別途、格子着脱可能 |
セーフティー玄関引戸 MK 袖付片引き戸36 | 301,300円 ~522,600円 | 高さ2230,幅1690 袖部ガラス別途 | |
バリアフリー玄関引戸季更BT 片引き戸(3枚戸)SH22 | 398,100円 ~436,900円 | 高さ2230,幅1694 障子部ガラス別途 |
玄関は「高齢者」と「介護者」両者の動くスペースまでふまえて、間取りや配置を決める必要があります。
玄関は後から広げることが非常に難しいので、未来を考えて、少し余裕のあるスペースにしておくと安心です。
手すりのバリアフリーリフォーム
バリアフリーリフォームで一番簡単にできるのは、手すりの取り付けです。
- 廊下
- トイレ
- 浴室
などに設置すれば、転倒防止や移動補助に役立ちます。
車椅子の生活になった際には手すりの出っ張りが邪魔になる場合もありますが、その時は取りはずせば良いだけなので、今必要なバリアフリー対策をしてください。
手すりの価格はいくら?
メーカー名 | 商品名 | 価格(税抜) | 備考 |
---|---|---|---|
マツ六株式会社 | BAUHAUS 32ハイブリッドI型ハンド | 8,400円 〜9,900円 | 太さ32mm、ディンプル加工つき。 ホワイトアッシュ集成材、亜鉛合金、ホワイトアッシュ無垢材 |
BAUHAUS 四万十ひのき手すり BSH-700 | 19,000円 | 高知県四万十の清流が育んだ四万十ひのきの間伐材を利用した手すり | |
ダイケン工業 | 手摺セット32型 I型セット600D | 10,500円 〜11,100円 | 女性でも握りやすい32㎜径の手摺セット |
廊下のバリアフリーリフォーム
【廊下バリアフリーリフォームのよくある悩みと解決策】
「車椅子が通れる幅を考える必要がある」
「玄関からすぐにキッチンがあると、重たい荷物も運びやすく便利」
「滑りにくく、転んでも痛くないようにクッション性があり、スリッパを履かなくても歩ける温かみのある素材がおおすすめ」
「手すりは汚れが目立ちにくい素材にすべき。金属だとモダンな雰囲気になるが冬場は触ると冷たいので、ぬくもりのある木の素材がおすすめ。」
「足元に人感センサーがあると、夜中にトイレも行きやすい」
「トイレットペーパーや洗剤などのストックスペースをつくるなら、高い位置ではなく、手が届く範囲にすると安全」
廊下のバリアフリーリフォームでは「車椅子が通れる幅の確保」と「素材選び」がポイントとなります。
また廊下自体をなくし、玄関入ったらすぐにキッチンやリビングという間取りも人気です。
洗面所のバリアフリーリフォーム
【洗面所バリアフリーリフォームのよくある悩みと解決策】
「お風呂にいれてあげやすいよう、広いスペースがあると良い」
「主人が退職し家にいる時間が増えたから、使い勝手が良いように洗面ボウルは2つ欲しい」
「自動センサーの水栓だと蛇口の開閉も楽だし、閉め忘れも防げる」
「握力がなくなってくるので、蛇口はひねるタイプより、自動か、シングルレバータイプ(上げ下げだけで良いタイプ)がおすすめ」
「シニアの家庭事故の原因の1/4はヒートショックといわれているので、寒くないように間取りを考えたリ、電気式ファンヒーターがおけるスペースを用意したりすべき」
「歯磨きなど、座りながらでも作業できるよう、洗面台下はスペースが空いている方が良い。また座って作業することを考えると、鏡の位置も低めが良い。」
「滑りにくいようにする」
「掃除しやすいようにする」
洗面所のバリアフリーリフォームでは「余裕のあるスペース」と「足が入るタイプの洗面台選び」がポイントとなります。
浴室のバリアフリーリフォーム
【浴室バリアフリーリフォームのよくある悩みと解決策】
「滑りにくいようにする」
「内開き扉や折れ戸だと、万が一お風呂場で倒れた時の位置によっては、つかえて開かなくなってしまう。引き戸だとつかえることはないが、それだけスペースが必要になる。どちらにしても計画的に考える必要はあるが、いざという時のために外れやすいタイプを選択すべき」
「ふらつき防止と跨ぎやすさを考えて、浴槽の横に手すりがあると良い」
「浴槽が深すぎるのは危ない」
「上下スライド式のシャワーだと、座ったままでも高さ調節しやすい」
「浴槽が床が固いタイルだと、倒れた時に割れて体を切ってしまう恐れがある。人工大理石やFRP(繊維強化プラスチック)の方が大ケガにはなりにくいかも。」
「水栓カランは熱くならないタイプを選択すべき。突然よろけて触れてしまっても、火傷しないで済む。」
「浴室インターフォンがあれば助けが呼べる」
浴室はシステムバスがおすすめです。
- 水はけがよく滑りにくい床
- 段差のない出入り口
- 保温性に優れた室内
などバリアフリー設計が標準的に装備されているからです。
トイレのバリアフリーリフォーム
【トイレ バリアフリーリフォームのよくある悩みと解決策】
「トイレインターフォンがあれば助けが呼べる」
「引き戸と手すりは必須。手すりはL字型とI字型があるが、握りやすく、冷たくない木製がおすすめ。」
「自動水洗は便利だが、体調チェックするなら自分のタイミングで流せた方が良い」
「新機能つきのトイレは慣れが必要なので、早めに導入をして使い慣れよう」
ウォシュレット・ビデ・蓋の自動開閉など新機能が続々搭載されていくトイレですが、高齢になると新機能に対応するには時間がかかります。
中には
「蓋が勝手に空いて驚いた!」
「水が突然流れてビックリした!」
など各種機能が衝撃を与え、「トイレに行くのが怖い」とトイレに行くことを我慢してしまい、体調を崩してしまう高齢者の方もいらっしゃいます。
これまで旧式タイプのトイレを使っていた家であればあるほど、早めに最新式トイレを導入するか、あえて最小限の機能に抑えたシンプルタイプのトイレを選択されると良いです。
リビングのバリアフリーリフォーム
【リビング バリアフリーリフォームのよくある悩みと解決策】
「リビングは1階の方が便利だけど、足腰を鍛えるために、階段の手すりや転落防止の踊り場を設け、あえて2階にするのも良い。」
「屈みにくくなるので、コンセントは高めの位置に設置するのが良い」
「冬場の寒さ対策に床暖房があると良い。電熱式は電熱パネルを敷くだけ、温水式も温水パネルを敷くだけで良いものもあり、工事は意外と簡単。」
「高齢になるとTVの音を自然と大きくしがち。近所迷惑にならないよう防音対策が必要。でも完全に音を遮断すると外との繋がりがなくなってしまうので、ヘッドフォンを使う方法もあり。」
足腰の問題と設置階は意見が分かれるところです。
毎日をイキイキと過ごすために、どういうリビングが安らぎを生むか考えられると良いですね。
キッチンのバリアフリーリフォーム
【キッチン バリアフリーリフォームのよくある悩みと解決策】
「棚の奥に片づけてる食器や鍋をとるために、背伸びをしたり手を伸ばしたりという動作がしにくくなる。軽く引っ張るだけで降りてくるスライド式収納もあるが、中身によっては上げる時に意外に力が必要で、かえって使いにくいことも。」
「新機能が色々ついているキッチン設備は早めに慣れないと、使いこなせない」
「自動水栓なら、水を出しっぱなしというウッカリを防げる。また握力が弱まっても、水栓を閉められないという悩みから解放される。ただ新しい設備は慣れが必要なので、自動であれタッチ式であれ、早めに導入すべき。」
「車椅子になっても料理できるよう、通路の幅は広めに。そしてシンク下の収納はワゴン式にして、ワゴンを引き出せば、下の空間がオープンになり足を入れられるようにする。そうすれば座りながらでも料理ができる。リモコンでレンジフードの操作ができるキッチンも便利です。」
キッチンのバリアフリーリフォームでは、「収納」と「座りながらでも料理ができるキッチン設備の選び方」がポイントとなってきます。
ダイニングのバリアフリーリフォーム
【ダイニング バリアフリーリフォームのよくある悩みと解決策】
「食べ飲みこぼしが増えるので、汚れを拭き取りやすい・耐水性・食器が割れにくいクッション性・耐久性・耐傷性のあるクッションフロアが良い」
「子育て中は対面式キッチンが良いかもしれないが、高齢になると食器や鍋が運びやすいよう、キッチンとダイニングは横並びが便利だと思う」
「宅配サービスでまとめ買いをするなら、ストック置き場となる収納スペースあると良い」
ダイニングのバリアフリーリフォームでは「床の素材」と「ストック置き場」がポイントとなります。
寝室のバリアフリーリフォーム
【寝室バリアフリーリフォームのよくある悩みと解決策】
「ベットは寝室の中心に置くと良い。介護者が動けるスペースが両側にあった方が、どちら側からでも体を支えたリ、食事の補助ができる。また自分も体調によってはいつもと逆の方が体が楽に起こせることもある。」
「寝室のそばにトイレを設けるスペースや、ベッドサイドにおける水洗トイレを設けるスペースを確保しておくと安心。将来のために配管工事だけしておくと、いざという時に再リフォームも簡単。」
「お風呂場までの移動を軽減するために、押入れがあった場所に簡易シャワーを取り付けるのも良い。ひとまず配管工事だけしておくと、いざという時に設置も簡単。」
部屋のすぐ横にトイレや浴室をつくることで、自立した生活を続けられますし、家族の負担も減らせます。
将来のために、寝室をリフォームする際には配管工事だけしておくのがポイントです。
押入れのバリアフリーリフォーム
押入れは奥行きがあるため案外使いにくいもの。
また天袋や地袋にモノをしまっても、出すのが面倒で入れっぱなしになっている家も多いのではないでしょうか。
ハンガーラックやキャスター付き収納ケースを活用して、押入れをクローゼットとして使うのも良いですが、布団からベットが一般的になった今、ホームエレベーターの設置スペースとしてなど、押入れを別の利用スペースとしてリフォームするのも良いと思います。
「お客様用に布団を用意しておかないと」とお考えの場合には、布団レンタルを活用するのも一つの方法です。
押入れに入れっぱなしで日干しされていない家の布団よりも管理されていますし、布団を片付ける手間も省けます。
クローゼットのバリアフリーリフォーム
【クローゼット バリアフリーリフォームのよくある悩みと解決策】
「人感センサーがあると、電気の消し忘れを防げる」
「ウォークインクローゼットは人が入るスペースも確保しておく必要があり、意外と空間的余裕はない。横長クローゼットの方が無駄なく収納できる。」
「高齢になっても自分で出し入れできるうちは、手の届く範囲にある方がラク。ただ痴呆が進んだ家族を介護する場合は、危険を回避するために、できるだけ上の方に収納した方が安全。」
荷物が多すぎて困っているという場合には、片づけサービスを活用してみるのも良いかもしれません。
ユーティリティのリフォーム
ユーティリティとは、家事室ともいわれ、主に洗濯やアイロンがけなど家事作業を効率的に行うための場所のことです。
【ユーティリティ バリアフリーリフォームのよくある悩みと解決策】
「梅雨・花粉・黄砂の時期に洗濯物を室内に干せる」
「耳が遠くなると突然の雨に気付きにくいが、室内に干せるので安心」
「介護で汚れたカーペット、大きめシーツの予洗い、家庭菜園で収穫した野菜の泥落としなど色々活用できるので、子供が独立して部屋が余ったら作るのが良いかも」
必須の部屋ではありませんが、ユーティリティがあると便利なことは確かです。
階段のバリアフリーリフォーム
【階段バリアフリーリフォームのよくある悩みと解決策】
「手すりの端に袖口がひっかかると危ないので、ひっかけ予防のために手すりの端が下向きに折り曲がったタイプがおすすめ」
「車椅子になった時に備え、室内エレベータを設置できるスペースを確保しておくと良い。エレベータを設置するまでは収納スペースとして活用できる。」
「エレベーターではなく階段昇降機を設置するという方法もある。ただ階段が狭いと、階段昇降機を使っている時、家族は横歩きせざるを得なくなることも。」
「踏み面は大きい方が安心」
「踊り場があると、万が一転んでも途中で止まれる」
「高齢になると階段はツライもの」というイメージが一般的ですが、元気な高齢者が増えている今、足腰を鍛えるためにも階段の上り下りは必要という前向きな意見も多く聞かれます。
駐車場のバリアフリーリフォーム
将来、電動カートに乗るかもしれません。
電動カートがあれば自分で外出もできますし、前にカゴがついているので、買い物も自分でできます。
そんな将来に備えて、充電用コンセントを設置しておくと安心です。
また車を手放したなら、趣味に生かせる空間づくりにリフォームするのも良いですね。
男の料理にはまって、駐車場だったところにピザ窯をつくった方もいらっしゃいます。
導線が第二の人生の快適さを決定する
3 in 1 の水回りとは、
- 洗面室
- トイレ
- 浴室
がワンルームで繋がっている設計のことです。
段差なくフラットに繋がっているので、車椅子生活になっても使いやすく、移動も介護もしやすいつくりです。
部屋のすぐ横にトイレや浴室をつくることで、自立した生活を続けられますし、家族の負担も減らせます。
また夜中のトイレによるヒートショックも防げます。
キッチン横にダイニングテーブルを繋げることで、配膳はラクになるし、家族にも手伝ってもらいやすくなります。
水廻りが集約されていると、高齢になっても快適な生活を実現しやすくなります。