リフォームでは「アレもしたい!」「コレもしたい!」と夢は色々ありますが、そこには予算という現実が立ちはだかります。
そこで、この記事では発想の転換やリフォーム業界の裏話などから、ローコストリフォームのコツを16個ご紹介します。
リフォーム計画編
1)リフォーム業者の得意分野を見抜こう
リフォーム業者と一口にいっても、それぞれ得意分野があります。
たとえば設備メーカー系列のリフォーム業者は、洗面台リフォームやトイレリフォームが得意です。
大手リフォーム業者は、小規模から大規模リフォーム(全面リフォーム)まで幅広く対応できます。
オリジナリティのあるデザインを求めるなら、設計料が別途かかりますが、工事監理までしてくれる設計事務所が安心です。
希望するリフォーム内容を得意とする業者に依頼することで、工事に慣れているだけでなく、メーカーとの取引量も多いため、安価に各種設備機器を仕入れてもらうことも可能に。
結果的に「満足のいく仕上がり」と「節約」に繋がります。
2)リフォームローン
最近はリフォームを前提に中古物件を購入する方が増えています。
そして中古物件の購入やリフォームのためにローンを組む方も多いです。
かつては
- 物件購入のために「住宅ローン」
- リフォームのために「リフォームローン」
と別々に契約するのが一般的でした。
しかし最近は物件購入とリフォームにかかる費用を「合算」した金額で「リフォーム専用ローン」を契約できるようになりました。
通常のリフォームローンと異なり、リフォーム専用ローンの審査は厳しく、抵当権の設定が必要にはなりますが、
- 金利が低い
- 手数料の支払いを一本化できる
- 借入期間を長く設定でき、月々の返済額を低くできる
など総返済額を抑えられるので、リフォームすることを前提に物件購入を考えている方にとっては検討の価値ありです。
≫(関連記事)リフォームローン比較!返済方法や金利タイプの選び方
3)設計変更や追加工事は厳禁
こちらの都合で工事期間が当初の予定よりも延びると、人件費や作業費がかさむことから、費用は高くなります。
そのため完成間際の設計変更や追加工事は工期を大幅に遅らせるので、コスト面から考えると厳禁です。
事前に納得いくまでしっかりと打ち合わせをしておくことが大切です。
4)間取り変更するならスケルトンリフォームがお得
壁を撤去したり追加したりするとその分だけ工事費用が発生するので、コストを抑えるためには既存の間取りをできるだけ生かすことがポイントです。
間取りを変えなくても
- 合板フローリングを無垢材にかえる
- 壁紙を貼りかえる
- 設備機器や建具を交換する
などだけでも雰囲気はガラッと変わります。
ただ、やっぱり間取りを変えたいという場合にはスケルトンリフォームがおすすめです。
スケルトンとは「骨組み」という意味で、建物の躯体だけの状態にして内部をつくり直す工法です。
- 間取りを変更したい
- 設備や内装を一新したい
- 広々とした1LDKにしたい
など「大幅な」間取り変更をしたい人にとっては、最終的には割安となります。
同時に給排水管や電気配線の安全性をチェックできたり、断熱性の見直しができたりというメリットもあります。
もう一つ、部屋数についてもお伝えします。
木造軸組み工法の一戸建てリフォームの場合、意外なことに、部屋数を増やす工事より、部屋数を減らす工事の方がコストは高くなります。
なぜなら間仕切り壁を撤去して広い空間にする場合、耐震性を損なわないために梁を補強したり、構造体のバランスを崩さない位置に耐力壁を移動させたりなどの大掛かりな工事が必要になるからです。
一方、既存の耐力壁や柱を撤去せずに、間仕切り壁を追加して新たな部屋をつくるリフォーム工事は難しいわけではないので、減らすよりも割安で済みます。
5)水回りは位置交換まで
「リフォームは水回りから」という言葉もあるほど、水回りリフォームはいつも人気です。
ただ水回りは給排水管・ガス管・排気ダクトなど様々な設備が絡み合っているので、大きく移動させると費用もかかります。
特にマンションの場合、パイプスペースにつながる排水管には勾配がついていますが、キッチンや洗面室などの位置を変えることによってパイプスペースまでの距離が長くなる場合があります。
その場合は床を上げたり、排気ダクトも伸ばしたりする必要があり、工事は複雑で費用もかさみます。
そのため、水回りの移動は位置交換までにとどめておくと節約につながります。
設備機器編
6)既製品+ひと手間
憧れのキッチンやお洒落な洗面台などは憧れますが、やはりオーダーメイドすると高額になります。
かといって既製品は安価だけれど味気ないと感じる方もいらっしゃるでしょう。
そんな時は既製品にひと手間をかけて、あなただけのオリジナル品に仕上げるのがおすすめです。
たとえば洗面台は既製品だけど、鏡はアンティークミラーにしたり。
シンプルな既製品のキッチンカウンターだけど、カフェ風のオープン棚を設けたり。
鏡や棚の取り付けだけならDIYでもできます。
節約になり、愛着も湧くので、挑戦されてみてはいかがでしょうか。
7)メーカーはお任せしよう
システムキッチン・システムバス・トイレ・サッシなどは、卸業者を通じて工務店やリフォーム店に届くのが一般的な流れです。
仕入れ価格は各々違い、工務店やリフォーム店は独自に安く仕入れられるルートを持っていることが多いです。
そのためメーカーに対して特にこだわりがない場合は、指定しない方が安く購入できます。
有名なメーカーなら、どこも性能の差はほとんどありません。
一旦はリフォーム業者にお任せして、どんなものを揃えてもらえるのか聞いてみると良いです。
8)配線ダクトによる照明がおすすめ
店舗などでよく使われている配線ダクトによる照明は、住宅に設置することも可能です。
通電できるレールを天井に埋め込んだり、直付けにして、アダプター付きの照明器具を設置します。
スポットライトやペンダントライトなど複数の照明器具を取り付けることもでき、交換や取りはずしも簡単です。
そして実は天井に穴をあけて器具を取り付けるダウンライトより、配線ダクトによる照明の方が工事は簡単で、器具そのものの価格も安価なので、照明器具の費用を抑えたい方におすすめです。
引っ掛けシーリングに設置できる簡易タイプなら、さらにコストダウンできます。
オープンキッチンとの相性も良く、お洒落カフェの雰囲気を演出でき、光の欲しい方向に手軽に向きを変えられるのも魅力の一つです。
9)施主支給のメリット・デメリット
施主支給とは、あなた自身が購入した設備機器・部材・インテリアパーツをリフォームで使うことを示します。
インターネットやアウトレット店などを利用してディスカウント価格で入手できれば、設備機器代を大幅に節約できることもあります。
また確実にあなたの好みの設備機器やインテリアパーツを使えます。
ただし運搬の手配や工事期日までの確実の受け取りなど、手間がかかります。
また万が一、工事期日に間に合わなかった場合は、工事がストップしてしまい、工期も延びるので、その分リフォーム費用もかかってしまいます。
メリット・デメリットをきちんと踏まえて決める必要がある方法です。
≫(関連記事)コストダウンできるけどトラブルも多い施主支給とは?
内装材編
10)低価格素材を活用しよう
まずは量産品の活用です。
量産品とは、色や柄がシンプルで汎用性があり、大量生産することでコストを抑えた製品です。
その際、ロスが出ないように、使用する素材を統一することも節約のコツです。
物足りない場合は、デザインクロスや輸入クロスを部分的に取り入れるのも一つの方法です。
もちろん量産品よりは約3倍の価格となりますが、部分使いなら大幅なコストアップにはならず、インテリアを楽しめます。
また人気の無垢材ですが、無垢材も一枚板ではなく、UNIタイプなら低価格で取り入れやすいです。
UNIタイプとは、unitedの略でユニタイプと読み、短い無垢材を縦方向につないだもので、一枚板の無垢材(OPCフローリング)よりも2~3割お得となります。
その他、節の多いパインや杉の床材も比較的低価格なので、節が気にならないなら選択肢の一つとしておすすめです。
今ある内装材の上から施工するのも節約になります。
たとえばクロス張りの壁をペイントや左官仕上げにリフォームする場合、通常は壁紙をはがし、裏打ち紙が残らないように綺麗に処理するのですが、手間がかかります。
ですが最近はクロスの上から塗れる塗料・珪藻土・漆喰なども出ているので、それらを採用して元の壁紙をはがす作業を省略すれば、節約につながります。
これは壁だけでなく床も同様です。
床のフローリングも既存床をはがさずに重ね張りすることで、工期が短くなり、費用も抑えられます。
11)在庫品を狙おう
実は、大量に仕入れて半端に残った内装材や、発注ミスなどにより使用されなかった設備機器が、工務店やリフォーム業者の倉庫に眠っていることはよくあることなんです。
全部屋分はまかなえないけれど、一部屋分ならまかなえるぐらいの量ですが、業者にしてみれば中途半端な量の在庫品は早く処分したいものです。
そのため施工範囲の狭い部分リフォームで、素材・色・デザイン・仕様などが条件に合うなら、このような「わけあり品」はお得です。
「安価な在庫品はありませんか?」と感じ良くリフォーム業者にもちかけてみるのも一つの方法です。
収納スペース編
12)家具工事?大工工事?
リフォームを機に、造りつけ収納を設ける人が増えています。
施工場所のサイズに合わせてつくってもらえるので、スペースを有効活用できますし、インテリアの統一も図れると人気です。
ただ、ここで悩むのが、家具専門職人さんに依頼するか、大工さんに依頼するかです。
一般に「細部のつくりはラフだけど、家具工事より大工工事の方が工事単価は安い」と言われているので、複雑なデザインを求めていないなら、大工工事にした方が節約になります。
13)収納扉の枚数は抑えよう
収納スペースの扉は、同じ間口なら4枚扉より2枚扉の方が3~4割安くなります。
なぜなら扉の大きさに関係なく、扉の数が減ると金具などのパーツが減り、表面や小口部分の仕上げの手間なども少なるなるからです。
使い勝手にそれほど影響しない場所なら、収納扉の枚数は少なければ少ないほど節約になります。
扉を一枚のワイドな引き戸にするのも一つの方法です。
扉をつけずに、オープン棚の「見せる収納」も、インテリアを楽しみながら節約できる方法の一つです。
ランニングコスト編
14)断熱リフォームをしよう
ランニングコストとは、生活していく上で消費する電気やガスなどの光熱費、水道代、家の維持管理に必要な修繕費などを指します。
たとえリフォーム工事自体は安く済んでも、これから何十年と支払い続けるランニングコストが家計の負担になってしまっては意味がありません。
そこでおすすめなのが断熱リフォームです。
家の断熱性を高め、夏の暑さや冬の寒さの影響を受けにくくすると、長期にわたり冷暖房費を節約でき、たとえ初期費用はかかったとしても、結果的には「節約リフォーム」となります。
断熱工法が一般的に行われるようになったのは1970年代以降といわれているので、それ以前の築年数の古い中古住宅や、築年数が浅くても断熱材が不十分と診断された家の場合は、快適に暮らすためにも断熱リフォームはおすすめです。
断熱性を高める方法は色々ありますが、壁の内部・床下・天井裏に断熱材を入れるのが一般的です。
また断熱塗料や遮熱塗料で外壁塗装や屋根塗装を行い、家全体をすっぽりくるむ方法もあります。
このような断熱リフォームは、一定の要件を満たせば住宅リフォーム控除(減税)も適用されます。
断熱リフォームを検討されるなら、一度要件を確認してみてください。
≫(関連記事)リフォームも確定申告・年末調整で住宅ローン減税が適用される!
15)内窓を取り付けよう
熱の出入り口が多いのは、窓や扉の「開口部」です。
そのため屋根・壁・床だけでなく、開口部も断熱対策をするとさらに効果が得られます。
窓の断熱リフォームにも色々ありますが、最近注目を浴びているのは「内窓」です。
既存のサッシの内側にもう一つサッシを設けて、二重窓にする方法です。
内窓本体の断熱性と、既存サッシとの間にできる空気層のおかげで断熱性がぐんと高まり、冷暖房費を抑えられるだけでなく、結露も起こりにくくなります。
工事も簡単で短時間で済みますし、設置費用も1間幅の腰窓で数万円ほどです。
戸建ての場合は、玄関ドアも断熱仕様の扉に交換すれば、開口部の断熱対策はバッチリです。
(関連記事)
≫窓リフォーム(サッシリフォーム)費用の相場
≫玄関リフォーム費用の相場
16)照明はLEDランプにしよう
「家庭で消費する電気量の1/5は照明」といわれています。
そのため最近はすっかり同じとなりましたが、LEDランプはやはりおすすめです。
同じ明るさの従来の白熱ランプに比べて、消費電力は約1/10、寿命は40倍といわれています。
さらに発熱量が少ないので、白熱ランプのように部屋も暑くなりません。
省エネという点からも、交換の手間がかからないという点からも、リフォームの機会にLEDランプに交換されてみてはいかがでしょうか。
リフォームは同じ工事内容でも、業者によって金額が約3割ほど変わってくる業界です。
もし100万円のリフォーム内容なら、費用は30万円も変わります!
ローコストでリフォームをしたいなら、まずは複数社から見積もりを取り、金額を比較することが必須です。
この下調べをするだけで、無駄な出費を抑えることができます。