2018年10月15日、安倍首相が2019年10月1日に消費税を10%に引き上げると明言しました。
これまで2015年、2017年と二度に渡って増税は延期されてきましたが、今回はとうとう実施される見通しです。
外壁リフォームや屋根リフォームは決して安いものではないので、たとえ2%の差でも費用が大きく変わってきます。
たとえば工事代が100万円と仮定した場合、増税に伴い8万円から10万円へと、2万円も余分に消費税を支払わなければなりません。
そこで外壁塗装やリフォームは「いつまでに契約」して「いつまでに引き渡し」をしてもらえば8%で済むのかをお伝えします。
いつまでに外壁リフォーム・屋根リフォームすればお得?
工事後の「引き渡し時」の税率が適用される
消費税は商品を受け取る時に課税されるのが原則。
そのため外壁リフォームや屋根リフォームの場合、消費税率は外壁塗装やリフォーム工事が終わった「引き渡し」時点の税率で決まります。
今回の場合なら
- 増税施行前の2019年9月30日以前だと8%
- 増税施行後の2019年10月1日以降だと10%
になります。
リフォームは特別に「経過措置」が適用される
しかし外壁塗装をはじめとしたリフォーム工事では、引き渡しが2019年10月1日を過ぎても、消費税8%が適用されるケースがあります。
それは「消費税増税の施行日の半年前の指定日(2019年4月1日)の前日である、2019年3月31日までに工事請負契約を完了していた場合」です。
請負工事などは原則に従うと不便な点も色々とあるということで、税率引上げに伴う「経過措置」が特別ルールとして設けられています。
つまり2019年3月1日までに契約を交わしておくことこそ、消費税率8%を適用させてリフォームができる確実な方法なのです。
参考:国税庁「平成31年(2019年)10月1日以後適用する消費税率等に関する経過措置」
増税の影響を最小限に抑えるために知っておきたい2つの制度
消費税増税による不利益を最小限に抑えるため、「軽減措置」だけでなく「減税措置」も取られる予定です。
減税措置では
- 「住宅エコポイント」の復活
- 「住宅ローン減税」の拡充
が検討されています。
1)住宅エコポイントとは
住宅エコポイントとは、一定の条件を満たしたエコリフォームに対してもらえるポイントで、様々な商品と交換できます。
この省エネ住宅ポイント制度は、2009年以降、経済対策として3回実施されています。
当時は1ポイント1円相当として、追加の住宅工事に使える他、商品券、プリペイドカードなどと交換できる仕組みでした。
なお対象のエコリフォームは
- 窓の断熱改修(内窓設置、外窓交換、ガラス交換)
- 外壁の断熱改修
- 屋根・天井の断熱改修
- 床の断熱改修
- バリアフリー改修(手すりの設置、段差解消、廊下や出入口の幅の拡張)
- 太陽熱利用システムの設置
- 節水型トイレの設置
- 高断熱浴槽の設置
でした。
国土交通省と財務省は前回同様の制度を復活させる方向で、現在はポイントの発行条件や規模などを詰めています(対策が固まったので、下記にまとめます)。
次世代住宅ポイント制度
増税後に省エネ住宅などを購入・改修した人にポイントを付与する「次世代住宅ポイント制度」に1300億円が計上されることになりました。
ポイント付与の対象も広がり、
- エコリフォーム(外壁、屋根、窓、床などの断熱改修を含む)
- 耐震改修
- バリアフリー改修
- 家事負担軽減につながる設備の設置
に対しては一戸あたり上限30万ポイント(30万円相当)が付与されます。
なお「家事負担軽減につながる設備」ですが、
- ビルトイン型食洗機
- 宅配ボックス
- 浴室乾燥機
なども対象となります。
このポイントはエコ家電などと交換できます。
2)住宅ローン減税とは
居住の用に供した年 | 控除期間 | 各年の控除額の計算 (控除限度額) |
---|---|---|
平成24年1月1日から 平成24年12月31日まで | 10年 | 年末残高等×1% (30万円) |
平成25年1月1日から 平成25年12月31日まで | 10年 | 年末残高等×1% (20万円) |
平成26年1月1日から 平成33年12月31日まで | 10年 | 年末残高等×1% (40万円) |
消費税の増税に伴い拡充されてきたのが、住宅ローン減税です。
リフォームをした年の年度末の確定申告の際に「住宅借入金等特別控除」つまり「住宅ローン控除」の申請を行うと、所得税が減税される制度です。
平成26年4月に安倍首相が消費税が8%に引き上げた際には、年間で最大40万円、10年間で最大400万円の所得税が減税される内容へと拡充されました。
住宅ローン減税というと、家を購入した場合のみ適用されると思われがちですが、一定の要件を満たしていれば外壁塗装やリフォームでも減税の対象となります。
今回の10%の消費税増税に対応した住宅ローン減税の内容は、12月頃までに発表される予定です。
なお住宅ローン控除と言われているように、10年以上の対象ローンを組んで外壁塗装やリフォームしていることが最低条件となります。
駆け込み需要の混乱に巻き込まれないために
経過措置の影響で、7~9月は駆け込み需要のピークが予想されます。
2014年に消費税が5%から8%に増税された時も駆け込み需要の影響で、建築業界全体が深刻な職人不足・建築資材不足・塗料不足に陥りました。
同様にキッチン・トイレ・浴室などもメーカーの製造が追いつかず、契約は交わしたものの工事がなかなか始まらなかったり、終わらなかったりという状況が数カ月続きました。
また9月末の引き渡し完了に間に合わせるため、梅雨の時期に見積もり依頼をすると、なかなか現地の下地調査ができず、通常よりも時間がかかってしまうこともあります。
外壁塗装やリフォームは決して安い買い物ではないので、打ち合わせ不足のまま慌てて契約すると、のちのち後悔してしまうことが出てくるとも言い切れません。
そのため丁寧に仕事をしてもらえるよう、早めに業者選びを始め、お得に納得の仕上がりを手に入れましょう。