トタン屋根というと、錆びているイメージがありませんか?
トタン屋根のように錆が発生しやすい鉄部の塗り替えをする時は、事前に行う「ケレン作業(錆落とし)」の丁寧さが、その後の塗料の耐久性の有無を決定づけると言っても過言ではありません。
この記事では、錆の状況に合わせた4レベルのケレン作業についてお伝えします。
ケレン作業とは
塗り替え場所に錆が発生している場合、錆を完全に除去してから塗装することが原則です。
錆の落とし方は
- 酸やリン酸アルコールを使った「化学的方法」
- 研磨材や工具を使う「物理的方法」
の2つの方法があり、これらの作業は「CLEAN」からきた「ケレン」という言葉で呼ばれています。
ケレン作業の内容は、そのレベルによって4種に大別できます。
錆の腐食状態 | 対応 |
---|---|
重い
↑ ↓ 軽い | ケレン1種 |
ケレン2種 | |
ケレン3種 | |
ケレン4種 |
ケレン1種:サンドブラスト等による除去
特に腐食の著しい状態の時に適用されます。
「化学的方法」もしくは「ブラスト処理」により、大部分の黒錆、赤錆、その他異物等を除去し、金属光沢を出します。
ちなみにブラスト処理とは
- 白珪砂(サンドブラスト)
- 鋼粒(ショットブラスト)
- 鋼砕粒(グリッドブラスト)
などを圧縮空気や遠心力によって吹き付け、その衝撃力や摩擦力によって錆を落とす方法です。
当然のことながら爆風で金属粒を吹き付けるケレン1種は、設備や環境保全の観点から、現場塗装には適用できません。
著しく腐食が進んでいる外壁塗装の場合は、部材を交換するのが一般的です。
ケレン2種:サンダー等の電動工具による除去
塗膜が劣化し、腐食が進んだ状態の時に適用されます。
- 研磨ホイールを使う「ディスクサンダー」
- パワーブラシを使った「ワイヤホイール」
- 圧縮空気で振動さえる「ニューマチックハンマー」
などにより、ミルスケール(黒錆)、赤錆、異物を除去し、わずかに金属光沢を出す方法です。
これら電動工具を使う方法は浮いている錆ならば除去できますが、完全な錆落としはできません。
また対象物の部位や形状により電動工具を使えない部分もあるので、手工具と併用するのが一般的です。
ケレン3種:手工具による除去
塗膜のほとんどがまだ十分な密着を保っている「活膜」の状態で、部分的に錆がみられるレベルの時に適用されます。
- ワイヤブラシ
- 皮スキ
- ヤスリ
などの手工具を使いミルスケール(黒錆)等を落とすもので、鋼材の素地を完全に露出させることはできず、赤みを帯びたレベルにする程度です。
ケレン4種:表面を綺麗に洗浄するのみ
錆はなく、表面を清浄にするレベルの時に適用されます。
外壁塗装や屋根塗装はどの段階で依頼すべきか?
ケレン作業は「錆落とし」だけでなく「浮いている塗膜の除去」にも有効なので、錆やすいトタン屋根だけでなく、スレート瓦やセメント瓦、ガルバリウム鋼板の外壁や屋根の塗り替えの際にも、下地調整の一環として行われます。
基本的には塗膜が劣化し始めたタイミングに、ケレン2種で作業を行うのがベストです。
ただ現場、特に個人住宅では対象物の部位や形状により手作業で作業せざるを得ない場合が多いので、完全な錆落としを行うことは困難なことが多いのが現実です。
したがって塗膜は活膜だけど
- 変色
- チョーキング(塗料の粉末化により手でこすると塗膜の粉が手につく状態)
- 付着物が多い
- 部分的に錆がみられる
などケレン3種程度で錆落としができる時期に塗り替えることが望ましいです。
具体的なセルフチェック項目は「塗り替えのタイミングはいつ?」のページでご紹介していますので、よければ合わせてご一読ください。