外壁や屋根の塗装工事費用は決して安くないので、少しでも軽減できたらいいですよね?
実は要件を満たしていれば、確定申告・年末調整の際に「控除(住宅ローン減税)」を受けることができます。
一度適用されれば、以後10年間にわたって減税を受け続けることができるので、利用しない手はありません!
2022年度以降の住宅ローン控除
控除率や控除期間が大きく見直されました
住宅ローン控除(住宅ローン減税)ですが、現行制度はもともと2021年末で期限を迎えるものでしたが、新制度では4年間延長され、2025年末が期限とされました。
そして、新制度では控除率や控除期間が大きく見直されました。
現行制度 | 新制度 | |
---|---|---|
制度の適用期限 | 2021年末 | 2025年末 |
控除率 | 1.0% | 0.7% |
控除期間(新築) | 10年間 | 13年間 |
控除期間(中古) | 10年間 | 10年間 |
所得上限 | 3,000万円 | 2,000万円 |
- 控除率は1.0%→0.7%に引き下げ
- 新築住宅の購入の場合、控除期間は10年間→13年間に延長
- 中古住宅の購入の場合、控除期間は10年間のまま据え置き
- 所得上限が3000万円→2,000万円に引き下げ
住宅ローン控除が見直された2つの大きな理由
1)利息より大きい控除が問題視されたから
控除額の見直しが行われた1つ目の理由は、利息より大きい控除が問題視されたからです。
住宅ローン控除は、もともとマイホームを購入する人の「金利負担軽減のために」導入された制度です。
しかし近年は低金利を背景にローン金利が1%を割り込むことが多く、控除額が支払利息額を上回る「逆ざや」が発生するケース、つまり「実際の金利負担より控除額のほうが多い = 住宅ローンを組んだほうが得をする」という現象が起きており、この点を是正するためです。
富裕層ほど、所得や信用力が比較的高く低金利で多額のローンを組め、減税の恩恵を受けやすい現在の仕組みも是正すべく、所得の上限も引き下げられました。
2)長期優良住宅へ誘導するため
控除額の見直しが行われた2つ目の理由は、長期優良住宅を優遇するためです。
長期優良住宅は高度な省エネ性能や耐震構造を持つ住宅ですが、政府は脱炭素化の取り組みの一環として、長期優良住宅の普及を狙っています。
そのため、一般的な住宅よりも長期優良住宅を優遇することで、長期優良住宅が増えるよう誘導する考えです。
借入残高の上限は4段階に
借入残高の上限(中古住宅の場合) | ||
現行制度 | 新制度(2022年〜2025年入居) | |
---|---|---|
中古住宅 2,000万円 | 1)認定住宅 | 3,000万円 |
2)ZEH水準省エネ住宅 | 3,000万円 | |
3)省エネ基準適合住宅 | 3,000万円 | |
4)その他の住宅 | 2,000万円 |
借入残高の上限は4段階になり、こちらも長期優良住宅(上記1〜3)を優遇する内容になりました。
例年通りであれば、税制改正は新年度より施行されるため、2022年度の税制改正内容が実際に適用となるのは2022年4月1日からです。
増改築に関しても最新ニュースがありましたらこの記事でも追記いたしますが、これから家の増改築を検討されている方は、最新ニュースを要チェックです。
住宅借入金等特別控除とは
住宅借入金等特別控除とは、居住者が住宅ローン等を利用して家を増改築し、平成33年(2021年)12月31日までに一定の要件を満たす場合において、所得税が控除されるものです。
なお断熱塗料や遮熱塗料を活用した「省エネ改修工事」をした場合は
- 住宅特定改修特別税額控除(借入金の利用がなくてもいい)
- 特定増改築等住宅借入金等特別控除(借入金を利用した場合)
も用意されているので、いずれか一つを選択して、控除を受けることができます。
住宅借入金等特別控除の適用要件
住宅借入金等特別控除の適用を受けるには、以下のような要件を満たしている必要があります。
- 居住用の物件であること(賃貸用は×)
- 増築、改築、建築基準法に規定する大規模な修繕または大規模の模様替えの工事であること(外壁、屋根はOK)
- 工事費用が100万円を超えること
- 10年以上にわたり分割返済する方法でローンを組んでいること
- 物件の床面積が50㎡以上であり、床面積の1/2以上の部分が居住用であること
<参考>国税庁:増改築等をした場合(住宅借入金等特別控除)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1216.htm
ここで1点気をつけるべきことは、床面積です。
床面積は「登記簿」に表示されている床面積により判断され、販売資料や売買契約書に記載された床面積とは異なります。
面積の算出基準の違いによるものですが、総じて登記簿に記載されている面積のほうが小さくなりがちです。
心配な場合には、登記簿記載の面積を事前確認しておくことをおすすめします。
住宅借入金等特別控除の控除期間及び控除額
住宅借入金等特別控除の控除額は、年末残高等×1%(控除限度額あり)。
住宅ローン等の年末残高の合計額をもとに、居住用に供した年分の計算方法により算出されます。
なお、あくまでも「控除」なので、塗装工事費用の額が住宅ローン等の年末残高の合計額よりも少ない場合は、その少ない金額が基準となります。
居住年 | 控除期間 | 各年の控除額の計算 (控除限度額) |
---|---|---|
2021年1月1日から 2021年12月31日まで | 10年 | 年末残高等×1% (40万円) |
2021年1月1日から 2022年12月31日まで | 13年 | [住宅の取得等が特別特例取得または特例特別特例取得に該当する場合] 【1~10年目】 年末残高等×1% (40万円) 【11~13年目】 次のいずれか少ない額が控除限度額 1)年末残高等〔上限4,000万円〕×1% 2)(住宅取得等対価の額-消費税額)〔上限4,000万円〕×2%÷3 |
住宅借入金等特別控除の適用を受けるための手続
住宅借入金等特別控除の適用を受けるためには、確定申告の際に以下の書類を用意して提出する必要があります。
なお給与所得者の場合、一度申告を行えば、翌年以降は毎年自動的に年末調整でこの特別控除を受けることができます。
- (特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書
- 住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書
- 増改築等工事証明書
- 請負契約書の写し(工事日、費用、家屋の床面積などの事実を明らかにする書類)
- 給与所得者の場合は、給与所得の源泉徴収票
増改築等工事証明書は、塗装工事業者に依頼すれば発行されます。
増改築等工事証明書がないと、塗装工事のみでは増改築に該当しないと見なされてしまうため、忘れずに業者に発行してもらいましょう。