数えきれないほど多種多様な塗料があるので、塗料選びはプロでも苦労するものですが、技術力のない業者の言いなりになってしまうと、塗装工事後に「目がチカチカして痛くて暮らせない」なんて可能性もゼロではありません。
そこで、この記事では塗料を選ぶ際に最低限チェックすべき4つの基準を紹介します。
塗料の選び方4つの基準
塗料は「成分×耐用年数×機能」で決まってきます。
1つの成分をとっても、それぞれ溶剤タイプと水性タイプがあり、また硬質タイプと弾性タイプがあり、さらに薄塗タイプと厚塗りタイプがあります。
機能面でも、低汚染性、防カビ性、防藻性、透湿性、断熱性など幅広い選択肢があり、正直キリがありません。
そこで塗料は次の4つに絞って選んでいくといいです。
- 耐用年数
- 価格
- 溶剤
- 防汚性
塗料の耐用年数と価格
耐久性のない塗料を使うと塗り替えが必要なサイクルが早くなり、塗装工事費用がその都度かかってきてしまうので、まずは耐用年数の長い塗料を選ぶべきです。
そうは言っても、塗料カタログには「環境に優しく、耐久性に優れ、外壁を強固に保護します」と似たような特徴しか書かれていないので、正直選びにくいかもしれません。
耐用年数と価格
そこで参考にしていただきたいのが「成分」です。
塗料の耐久性は成分で決まり、現在の住宅用塗料の成分は主に下記5つです。
成分 | 耐用年数 | 単価(㎡) |
---|---|---|
アクリル | 5~7年 | 1,000~1,200円 |
ウレタン | 10~13年 | 1,800~2,000円 |
シリコン | 10~15年 | 2,500~3,500円 |
ラジカル | 14~16年 | 2,400~3,000円 |
フッ素 | 15~20年 | 3,500~4,500円 |
こうして耐用年数だけをみると、フッ素が一番優れているように見えます。
しかし、その分価格が高いですし、築年数が経つにつれ家全体の構造的な歪みや下地の変形が起こると、塗膜は薄い膜なので裂けてしまいます。
そうすると耐用年数に至る前に塗り替えが必要になるため、戸建て住宅にはあまり使われていません。
一方、価格面ではアクリルは安いですが、耐用年数が短く不経済なので、最近はあまり使われません。
以上より、戸建ての塗り替えにおすすめの塗料は「ウレタン、シリコン、ラジカル」になります。
JIS規定の促進耐候性試験の基準
次に塗料を絞り込むとしたら「JIS規定の促進耐候性試験の基準」を参考にするといいです。
たとえばシリコン塗料といっても、1缶あたり1万円~5万円超と幅広い種類があるからです。
JIS規定の促進耐候性試験とは、簡単にいうと、 機械で塗膜にダメージを与えつづけ、塗膜が何時間劣化せずに耐えられるかを測ったものです。
- 2000時間耐えられる塗料は「耐候型1種」
- 1000時間耐えられる塗料は「耐候型2種」
- 500時間しか耐えられない塗料は「耐候型3種」
「耐候型1種」が一番長持ちで、最低でも10年持つと言われています。
日本ペイントなど各社の塗料カタログにも載っているので、ぜひ参考にして下さい。
溶剤
臭いがひどく、体に有害な塗料では安心して住めないですよね。
塗料は缶に入っているものをそのまま使うわけではなく、塗りやすくするために「溶剤」を混ぜます。
溶剤タイプは次の3つに分類されます。
溶剤タイプ
シンナーで薄めて塗る塗料。耐久性は強いが臭いもきつい。
水性タイプ
水で薄めて塗る塗料。臭いはあまり気にならないが、若干だけ耐久性が下回る。
弱溶剤タイプ(NAD型塗料)
溶剤タイプと水性タイプの中間タイプ
妊婦さんや小さいお子さんがいる家の場合は、水性タイプや弱溶剤タイプがおすすめです。
防汚性
時間の経過とともに外壁が汚れる原因は「電気と油」です。
なぜ電気が外壁を汚す原因なの?
電気は汚れを吸い寄せる「力」です。
塗料は合成樹脂でできているので、塗膜に風が吹きつけると摩擦が生じ、そうなると塗膜表面に静電気が発生します。
この静電気が周囲に浮遊するホコリを吸い寄せてしまうのです。
これを防ぐために「低帯電性」の塗料を使うと、汚れはつきにくくなります。
なぜ油が外壁を汚す原因なの?
油は「汚れそのもの」です。
車の排気ガス、工場の煙、家庭の換気扇から出る煙など、どれも油性です。
そして塗料も合成樹脂なので油性。
油性同士で合体してしまうのです。
また油が水をはじくように、油性の塗膜も雨水をはじいてしまうので、雨水によって汚れが洗い流されることはありません。
そこで「親水性」の塗料を使うと、自然と雨水が汚れを洗い流しやすくなります。
親水性に優れた塗料
外壁塗料の選び方まとめ
以上、塗料を選ぶ際の4つの基準についてご紹介しました。
- ランニングコスト重視 → 耐用年数
- 予算が限られている → 価格
- 子供が小さい → 溶剤
- 外観を綺麗に保ちたい → 防汚性
など、バランスを考えながら塗料を選ばれるといいですね。
また外壁塗装や屋根塗装は「下地用」と「仕上げ用」2種類の塗料を使っていき、各々の相性も大切になります。
この塗料の組み合わせは専門的なものになるので、重視したい点を塗装業者に伝えつつ相談に乗ってもらってください。