外壁塗料の一つである「セラミック塗料」ですが、誤解しやすい説明を受けている方も多いようなので、この記事ではセラミック塗料のメリット・デメリットをご紹介します。
セラミック塗料とは?
セラミックとは、端的に言うと陶磁器や焼き物のことです。
陶磁器、ガラス、茶わん、タイルなどを思い出していただくとイメージしやすいと思うのですが、セラミックは耐熱性・耐久性・耐侯性に優れており、このセラミックを塗料に改良したのがセラミック塗料です。
ここでの注意ポイントは、100%セラミックの塗料というのは存在しないという点です。
セラミックが「配合された」塗料が存在するだけです。
「セラミック=長持ち」というイメージが一般消費者に受け入れやすいこともあって売れる塗料なので、中には「うちはセラミック塗料を使ってますので」と、通常より高額な見積もりを出してくる業者もいます。
一般的に「セラミック塗料は普通の塗料×1.5倍ほど工事代金がかかる」といわれていますが、ここで重要なのは、セラミック塗料と一口に言っても様々な種類があり、原価の差が大きいという事実です。
なのでセラミック塗料を検討している場合は、イメージ先行ではなく、正しい知識を持つ必要があります。
「セラミック塗料だから半永久的」って本当?
「セラミック塗料なので、一度塗れば半永久的に持ちます!」なんて言われたら、これは悪党業者のセールストークと思ってください。
「セラミック=高耐久性」というイメージがありますが、セラミック配合だから耐久性が長くなるというのは誤解です。
塗料におけるセラミックは、耐久性ではなく、親水性を高めたり、天然石調に仕上げたりするために配合されます。
基本的に、塗料は「合成樹脂」によって耐用年数が変わります。
セラミックは、アクリル・ウレタン・シリコン・フッ素のような合成樹脂と違うので、陶器の粒子を塗料に沢山入れたからといって、塗料の寿命は延びません。
セラミック塗料なら汚れにくい?
セラミック塗料は親水性に優れているので、セルフクリーニング効果がある
セラミック塗料は親水性に優れているため、外壁が汚れにくく、また汚れが落ちやすくなります。
セラミック塗料を塗ると、セラミック成分が塗膜の表面に膜を形成します。
この膜は陶器やガラスのような表面になるので、汚れがつきにくいのです。
また水となじみやすい親水性で、水が汚れの下に入り込んで流れるため、雨水や湿気によって自然と汚れを取り除く「セルフクリーニング効果」が得られます。
どのセラミック塗料ても汚れにくいわけではない
ただ気を付けなければいけないのは、セラミックが例え微量にしか配合されていなくても、セラミック塗料と言われてしまうことです。
優れた親水性や防汚性を発揮させるには「適切な量」のセラミックが配合されていることが前提になり、セラミック塗料の全てが汚れにくいというわけではないのです。
悪徳業者の場合、ほんのひとつまみのセラミックが入っているだけでも「セラミック塗料です」と主張してきますので、セラミックを前面に売り出すような業者は気をつけたほうがいいかも知れません。
セラミック塗料なら断熱効果が高い?
こちらもセラミック塗料ならどれでも断熱効果があるというわけではなく、セラミック配合塗料の中には断熱効果が高い塗料もあるということです。
またが優れた断熱塗料なので、経年劣化により断熱効果はだんだん低くなっていきます。
本当に断熱を期待したいのであれば、断熱リフォームを行うのも一つの方法です。
石調セラミック塗料とは
まるで石材を積んだかのような外壁にできる「石調塗料」をご存じですか?
このキラキラ1つ1つは本当の石ではなく、軽いセラミックでできており、石調塗料を使うと、塗料なのに、まるで重厚で豪華な雰囲気を出すことが出来ます。
よりゴツゴツさせてより石材調に見せるために、吹き付け工法専用の石材調セラミック塗料もあります。
この場合、ローラーよりも吹きつけの方が高い技術力を必要とするので、技術力が確かな業者を選ぶことが必要です。
大手メーカーからも石調塗料は出ていますので、インターネットで各塗料の相場や性能などの口コミは調べやすいです。
ただ大手メーカー、その他メーカー関係なく、石調塗料を使う場合は、必ず透明の塗料を上から塗る必要があります。
石調仕上げは意匠性を高めているので耐久性が低くなります。
その低い耐久性をカバーするために、上から透明塗料(トップコート・仕上げ材)を塗るのが必須です。
間違っても安く済ませたいからといって、仕上げ材を省略したり、安さだけが自慢の業者には頼まないようにしましょう。
仕上げ材を省略すると、数年でボロボロ崩れることになります。
石調セラミック塗料の単価相場は?
仕上げ材も含めて、石材調塗料は塗る回数が多くなるので、その分費用も高くなりがちです。
たとえば必要工程が一番多い石調塗料だと、全17工程で単価は17,890円/㎡です。
最も高い光触媒塗料の単価相場が4,000円/㎡前後なので、その4倍以上します。
工程が少ないものでも4回塗るので、単価相場は5,000円/㎡前後と高めです。
石調仕上げは非常に意匠性が高いものなので、それ相応の技術料を支払う必要があると言えます。
セラミック配合塗料の種類
セラミックが配合されている塗料
各塗料メーカーより、セラミックの名前が入った塗料が発売されています。
- ファイン4Fセラミック(日本ペイント)
- アレスアクアセラフッソ(関西ペイント)
- セラミシリコン・セラミクリーン(エスケー化研)
断熱効果に優れたセラミック配合塗料
有名な塗料としては、専門の外壁塗装業者が存在するほど人気のガイナ(日進産業)が挙げられます。
ガイナとはロケット技術を応用した断熱セラミック塗料で、断熱効果・遮熱効果・騒音対策・耐久性などに優れています。
意匠性に優れたセラミックス配合塗料
もう一つ有名な塗料としては、ラピス(アペティー)が挙げられます。
ラピスとは自然石調を表現できる高品質セラミック塗料で、自然な色調を表現できるだけでなく、耐久性・断熱性・防水性・通気性・防藻性・防火災性と様々な機能を備えた高性能塗料でもあります。
セラミック塗料は悪徳業者に使われやすい
悪徳業者がなぜセラミック塗料に目をつけているのかというと、「セラミック塗料はスゴイ!」というイメージを僕たち一般消費者に抱かせやすく、場合によっては意匠性も高いので、多少高くても購入してくれる客が多いからです。
「通常のシリコン塗料は10~15年の耐用年数ですが、弊社のセラミックシリコンは陶器のような丈夫さを持っており、20年の耐用年数を誇ります。塗り替え回数が少なくて済むので、長い目で見ると大変お得な塗料です。またガラスのようなツルツルの表面を形成するので、汚れにくいんですよ。」
というのがセラミック塗料における悪徳業者のよくあるセールストークです。
「陶器のような」「ガラスのような」という表現は分かりやすいので、ついつい「セラミック塗料ってスゴイ!」と思ってしまうんです。
でもセラミックは陶器のように硬度が高い素材なので「割れやすい=クラック・ひび割れが起きやすい」というデメリットもあります。
セラミック塗料は優れた塗料ですが、「セラミック塗料だから何十年も持ちますよ」と根拠のないことを言ってくる業者は信用しない方がいいです。
セラミック配合塗料を選ぶ際のコツ
以上、セラミック塗料についてお伝えしてきました。
セラミック配合塗料のメリット
- 耐久性がある
- 汚れにくいし、セルフクリーニング効果もある
- 意匠性が高い
セラミック配合塗料のデメリット
- セラミックの配合量の確認が大切
- 単価相場は高くなる
- 金額面でも技術面でも信頼できる業者選びが重要
セラミック塗料で塗り替えたい場合の塗装業者の選び方
- セラミック塗装の実績はあるか
- セラミックの機能について説明してくれたか
- メリットだけでなく、デメリット(ひび割れ)も隠さずに説明してくれたか
- 実際に塗装する職人さんにもその知識があるか
誠実に塗装工事をしてくれる業者さんは沢山いますので、不必要に心配することはありません。
上記ポイントを参考に、優良な業者さんと巡り合ってください。